当資料館では、中世港湾都市・十三湊と十三湊を支配した安藤氏に関連する中世遺跡を主に紹介しています。十三湊遺跡は、十三湖に面する五所川原市十三地区にあります。
そこには「奥州津軽十三湊」と呼ばれ、日本で10本の指に数えられるほどの有名な湊町がありました。豪族・安藤氏が北海道に暮らすアイヌ民族との交易で栄えた湊町です。
このため、十三湊遺跡の解明は、日本列島の北方中世の交易史を解明する上で、極めて重要な意味を持つとされています。
平成3年度から十三湊遺跡で発掘調査が進められた結果、湊町の始まりから繁栄、廃絶に至る変遷課程が明らかとなったことから、平成17年7月に国史跡指定を受けています。
また、周囲にある安藤氏の福島城跡や宗教施設の山王坊遺跡などの発掘調査も進められ、十三湊を取り巻く中世湊町の全体像も把握できるようになっています。
展示では、安藤氏の歴史とともに、発掘調査の成果から明らかとなった十三湊の変遷や、当時の人々の暮らしぶりが分かる出土品の数々を紹介します。
▲資料館の入り口
本館の展示室は大きく4つに分かれています。
第一展示室「よみがえる十三湊~領主館と周辺の様子~」
第二展示室「十三湊の人々のくらし~武家屋敷と町屋の様子~」
第三展示室「安藤氏の活動と精神世界~古文書・石造物は語る~」
第四展示室「映像展示コーナー~発掘は語る・十三湊~」
展示室中央には市浦地区の遺跡がひと目でわかる地形模型を配置しました。コルトン写真で遺跡を選び、ランプで位置を確認できるしくみになっています。
ここでは岩木川の河口に位置する十三湖と日本海に囲まれた市浦地区の雄大な自然と十三湊の景観をイメージしてもらうため、写真パネルやイラストを多く展示しています。
また、十三湊遺跡で領主館が推定されている旧十三小学校周辺の発掘調査と出土品のほか、発掘調査で明らかとなった十三湊の成立・展開・最盛期の様子を紹介しています。
展示には豪華な陶磁器や日用雑器、多彩な鉄製品や銅製品の数々、北方の産物であるガラス玉、生活に必要な飲料水を確保する木製の井戸跡(井戸枠や曲物)を展示しています。
▲第一展示室(地形模型図)
展示室中央には韓国新安沖で沈没した中国元代末期の日元貿易の様子を明らかにした外洋船(新安沈没船)の模型を展示しています。当時、積荷をいっぱいにした外洋船が東シナ海を航海した様子や十三湊に入港する姿を想像できます。
ここでは武家屋敷や町屋跡から出土した遺物を中心に展示しており、十三湊に暮らした人々の様子が分かります。
さらに、展示ケースの壁いっぱいに十三湊から出土した陶磁器片を展示しました。国内はもとより遠く中国から運ばれた陶磁器が十三湊にたくさん集まる様子を表現しています。
▲第二展示室(新安沈没船)
▲第二展示室(武家屋敷地区) ▲第二展示室(町屋地区)
ここでは十三湊を支配した安藤氏の軌跡を紹介するパネルのほか、古文書や絵図の複製を展示しています。
古文書には「大乗院文書」、浄福寺「大般若経」、「羽賀寺縁起」、絵図には慶安元年「十三絵図」があり、
十三湊や安藤氏、中世日本海交易の実態を知る上で欠かせない貴重な文献です。
さらに、安藤氏の精神世界について知ることができる山王坊遺跡を紹介しています。山王坊遺跡から出土
した遺物のほか、五輪塔・宝篋印塔・無縫塔など中世石造物を紹介しています。
▲第三展示室(古文書・坐像)
▲第三展示室(石造物) ▲第三展示室(古文書)
ここでは、当地方に伝わる伝説、民俗芸能、国立歴史民俗博物館による十三湊遺跡の学術調査の映像を紹介しています。
1.大沼伝説
2.木仏と金仏の相撲
3.相内の虫送り(昭和45年撮影)
4.蘇る幻の港~青森・十三湊発掘調査~NHK青森93
住所 | 開館時間 | 休館日 |
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青森県五所川原市十三土佐地内 | 9時から16時00分 | 無(ただし冬期間12月1日から3月31日は閉館) |
個人 | 20人以上の団体 | |
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一般 | 310円 | 260円 |
大学生 | 220円 | 160円 |
高校生以下 | 無 料 |
無 料 |
所在地マップ
市浦歴史民俗資料館
青森県五所川原市十三土佐地内
電話0173-62-2775