人面形浅鉢は平成25年度の五月女萢遺跡発掘調査で出土した。五月女萢遺跡は十三湖北岸に位置する縄文後期後葉から晩期後葉の時期で、環状土坑墓を中心とする祭祀遺跡である。人面形浅鉢は遺跡東側の緩斜面に形成された厚さ2mに及ぶ縄文晩期中葉(大洞C2式土器)の捨て場(遺物包含層)から出土した[。
人面形浅鉢の大きさは、幅12cm、高さ7cmである。額の右上半部は欠損しているが、「遮光器」と呼ばれる大きな楕円形の目をもち、鼻が立体的で、口端に刺青と思われる刻み目がある。形態は浅鉢形土器そのものであり、土器の底面に顔が表現されているため、自立することができない。また、全体にベンガラ(赤色顔料)が塗られている。
マツリに使用された祭器との意見もあるが、縄文晩期の亀ヶ岡文化の中でも異彩を放つ美術工芸の粋を集めた一級品である。
人面形浅鉢・正面
人面形浅鉢・側面
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